ハイクオリティな日本製サーフボードができるまで
日本の老舗サーフボードブランド「chpサーフボード」にご協力いただき、サーフボードができあがるまでの行程をご紹介します。
ご紹介する行程はすべての行程を自社ファクトリーのSeaman Brothers(シーマンブラザース)で行い、どの行程であっても管理できる環境下のなかで作られているメイドインジャパンのサーフボードができあがるまでの行程です。
もちろんEPSなどの新素材のボードも作られていますが、今回は1番普及しているポリエステルボードを造る行程をご紹介します。
現在いろんな方法、素材でサーフボードが作られていますが、作られる国によっても行程に違いがあります。
サーフボードの良し悪しの判断は見た目ではとてもわかりにくいのですが、性能はもちろん、ユーザーのリクエストにあったボードか、魅力的な形状か、強度、重量、浸水、耐久性、黄変、乗り心地などすべてをクリアしているボードがいいサーフボードとよべます。
性能はもちろん高品質にこだわるchpサーフボード
「Your own model」
chpサーフボードは「Your own model」、あなただけのモデルをというテーマがあります。
レベルを問わずオーダーしたユーザーだけのサーフボードを作ることを基本としてサーフボード作りを行っています。
このシンプルかつサーフボードオーダーの永遠のテーマの実現に向け、常に進化するサーフボードデザイン、あらゆるマテリアルなどのテストを繰り返し、最良のサーフボードのみを提供し続けています。
chpの歴史が日本のサーフボードの歴史
chpの創設者、中村一巳氏がアメリカに渡りボードの製作を学んだのが1971年、帰国後日本で本格的にサーフボードの製作をスタートしました。
1976年、カルホルニアハワイプロモーションを設立。同年サーフボードブランド「chp surfboard」がスタートしました。
chpの歴史が日本のサーフボードの歴史といっても過言ではありません。
オーダーの受付
全国のchpディーラーでオーダーを受付
千葉一宮のchp本店メインショールームをはじめ、全国のchpサーフボード正規取扱サーフショップで、オーダーを受け付けています。
全国のディーラーとは常にコンタクトをとり、試乗会、コンテストなどのイベントを開催し、スタッフはもちろんユーザーともコンタクトをとる機会を数多く設け、最新の情報、ユーザーの情報を常に共有しあっています。
各サーフショップの熟練スタッフがユーザーの身長、体重、スキルはもちろん、そのボードを使用するホームグラウンドの波にあったサーフボード、ユーザーの求めるサーフボードデザインのサーフボードのオーダーを受け付けます。この際にエアブラシなどのカラーデザインのオーダーもできます。
オーダーの最終確認
記入漏れ、サイズなどを再確認
できあがったオーダーフォームが、chpファクトリーに送られて精査に確認します。
もし問題、不明な点があれば直接ショップに確認し、完璧なサーフボードを作ることために必要な、完璧なオーダーフォームに修正します。
ブランクス(フォーム)をオーダーにあわせてセレクト
ブランクスを選ぶ
オーダーを受けたシェーパーがオーダーフォームを受け取り、シェープに取り掛かります。
まずブランクスのカットデータを作成します。そしてオーダーにあわせたブランクスをセレクトします。
chpサーフボードでは現時点(2014年)で業界標準のサーフブランクスと、白さ、強度で注目されているコアフォーム、その他にもUSブランクスを使用しています。
ブランクスは頻繁にライダーがテストし、その時々でよりクオリティが良く安定した品質のもの使用しています。
DSD(Digital Surf Design)を使用したサーフボードデザイン
PC上でサーフボードをデザイン
chpでは2004年に日本で先駆けて、「SURF CAD」というソフトウェアでデザインし、ブランクスをカットする「DSD(Digital Surf Design)」を使用しはじめました。
このシステムを使用することにより、イメージする形状の再現性が格段に向上しました。ユーザーのリクエスト通りのサーフボードを今まで以上に正確にシェープできるようになりました。
これまでのプレーナー(電気カンナ)使用による課題をこのシステムにより大幅に改善されました。
データが利用できる
もうひとつのメリットとして、カットデータの保存、再利用が可能になったことにより、難しかったサーフボードの部分的な修正の精度が大幅にアップしました。
chpサーフボードでは、各ユーザーのシェープカットデータを厳重に管理、保管しています。
もちろんユーザーの要望にあわせて、このデータをベースデザインとして、今のボードをバージョンアップさせるといったオーダーも可能です。
このシェープシステムは、現在世界主流のシェープ方法であり、多くの著名シェーパーもこのシステムを使用してサーフボードをシェープしています。
このシステムは多くのメリットを生かすことのできるシェーパーが使用すると、オーダー通りのサーフボードを作りつづけることができます。
クリーンナップシェープ
「ハンドシェープ」
カットされたフォームをオーダーにあわせたシェーパーのイメージ通りに仕上げます。
ここはサーフボードの性能を決めるとても重要な作業です。クリーンナップや、スムージングと呼ばれています。
現在カットマシンは世界に数種類存在しますが、どのマシンも必ず最後にクリーンナップシェープが必要です。
今オーダーしたシェーパー本人がクリーンナップすることを世界的に「ハンドシェープ」と呼んでいます。
chpサーフボードではクリーンナップシェープも当然のごとくオーダーされたシェーパーが行います。
シェープに要する時間は、スタンダードパフォーマンスモデルの場合、デザインとマシンシェイプに60分、ハンドシェイプに40~60分。
特殊なカスタムデザインの場合はデザイン作りやテンプレート作りにプラス数時間かかる場合もあります。
アートデザイン
エアブラシでカラーリング
カラーデザインのオーダーの場合はシェープ完成後、多くのカラーを調合しオーダー通りのカラーを作り、オーダー通りのデザインをマスキング、エアブラシ、フリーハンドなどのアート技術を駆使して、オーダー通りのアートデザインに仕上げます。クリアでのオーダーの場合はそのままラミネート作業にかかります。
エアブラシに要する時間はデザインによって異なります。
ラミネート作業
マークをいれる
オーダー通りのディケール(和紙にプリントされたマーク)を用意、配置します。
ボトム側のラミネート作業からはじめます。ボトム側が終わるとデッキ側をラミネートします。
一般的なショートボードの場合ボトムは4オンスのクロスが1枚、デッキ側が4オンスが2枚のガラスクロスを使用しレジンでラミネート(フォームを包み込む)します。
オーダーにあわせて軽量化のためガラスクロスの種類や量を変えたり、ロングボードなどではより強度がアップする6オンスのガラスクロスを使用したりします。
chpサーフボードでは、通常4オンス、6オンス、ボランクロスを使用していますが、4オンスよりも軽い特殊なクロスを使用する事もあります。
ガラスクロスはフォームとの相性が重要で使用するメーカーはその時々のクオリティで変わるので多種に及びます。
クロスに少量の汚れがでたり何か問題が発生した場合、そのロールはすべて使用せず返品されます。
別の新しいロールのものを使うか、別ブランドのクロスに切り替わります。
*ガラスクロスについてコメントをいただきました。
ガラスクロスは透明度も大切ですが、クロスとフォームの相性はとても重要です。
私達は硬く丈夫で凹まないボードだけのボードを目指してはいません。
たとえば履き慣らしたシューズや履きこんだジーンズは自分のからだに馴染んで心地よいものですよね。
サーフボードも同じく、乗り込むほどにスタンスが決まり、自分自身のフットマークがついていきます。
クロスは軽さや丈夫さを決める大事な要素のひとつですが、フォームに対してそのフットマークが剥離せずにフォームにしっかり張り付いてくれる事もとても大切です。
その為にはフォームとクロスの相性はとても重要でライダーによるテストは欠かせません。
樹脂とガラスクロスでコーティング
ファクトリー内は季節を問わずレジン(樹脂)の硬化に最適な温度に調整されています。
サーフボードの黄変に影響するレジンとパーメック(硬化促進剤)の割合も長年の経験に基づいた最適な分量で作業が進められます。
またレジンの硬化時間はボードの強度に影響します。はやいと弱いボード、遅いと重たいボードになります。経験豊富なラミネーターがへらを使い無駄なレジンを取り除きつつ、フォームに浸透させ最適なラミネートを行います。
最後にエアーの流入がないかライトを使って詳細にチェックします。
オーダーによりレジンにカラーをつけたレジンカラーなどのアートワーク的なラミネート方法もあります。
chpサーフボードでは白さに定評のあるSILMER社のレジン、コアフォームとのマッチングが抜群のコアレジン、カスタムオーダーした日本製のchpオリジナルレジンを使用しています。
*レジンについてコメントをいただきました。
レジンもまたフォームとクロスの相性を決めるもうひとつのパートナーです。
やはりしなりや凹みに馴染んでくれるものを求めています。もちろん日焼け、変色、耐久性に優れたものでなければなりません。
ラミネート作業に要する時間は、クリアーのボードでフォームのクリーンナップから始まり、ディケールとクロスのセッティング、ラミネート、全ての工程でボトム面約60分~90分、 1日かけて硬化させて翌日デッキ面となります。
ラミネー作業自体は20分位ですが、その前のセッティングに多くの時間を要します。
フィンナップ
フィンを取り付ける
ラミネート作業が終わるとオーダーにあわせたフィンカップの取り付け作業にかかります。
シェーパーが指定した位置に正確にフィンカップが配置されます。
FCS、オンフィンの場合はこの段階で取り付け、FUTURE、その他のシステムの場合はラミネート作業前にカップを埋め込みラミネートされていきます。またこの段階でリーシュカップの取り付けも行います。
フィンカップの取り付けはトライのオンフィンの場合、クロスのセッティングから始まり、フィンの仮止め、そしてレジン作業の終了まで約60分、FCSの場合は穴開けからフィンセットしてレジンを流し込むまでに40~50分。
5FINプラグの場合は更に時間がかかります。フィンの工程も次のサンディングの作業まで1日かけて硬化させます。
ホットコート
さらに樹脂を塗り重ねる
フィンカップなどの取り付けが終わったサーフボードは、次にレジンのみでラミネートされます。この作業をホットコートといいます。
ラミネートで使うレジンと、ホットコートのレジンは種類の違うレジンで、この作業で使うレジンはより強度をアップさせる完全硬化するタイプのレジンを使用します。この際必要に応じてレールエッジを作ります。
ホットコートはセッティングからフィニッシュまで30~40分位です。まる1日かけて硬化させます。
サンディング
余分な樹脂を削り落とす
ホットコート作業の次はサンディング作業に入ります。シェーパーがイメージした通りのボトムコンケーブ、レール形状の再現、最適な強度、最適なボード重量に仕上げます。
削り残しがあると重いサーフボードに、削りすぎることをオーバーサンディングといいその部分のガラスクロスが露出し浸水します。多くの経験を要する作業です。
サンディングに要する時間は通常のトライフィンで約1時間、オンフィンやウィング、チャンネルボトム、5プラグなどの特殊なボードはプラス数時間となります。
「第2のシェイパー」と言われるサンディングは忠実にシェイプを再現しなければなりません。その為、サンディングはボードのモデルやタイプで作業時間の差がかなりでてきます。
ポリッシュ
つやを出す
オーダーにあわせてポリッシュ(つや出し)作業にかかります。
もう1度デッキ、ボトム両面にレジンを塗り、コンパウンド(研磨剤)を使用してボード全体に艶を出していきます。
ポリッシュ作業に要する時間はパフォーマンスモデルで約1時間、複雑なテールやボトムの場合はプラス数時間となります。
検品
完璧なものに仕上げる
できあがったサーフボードすべてを厳重に検品します。
オーバーサンディング、ピンホール(ラミネート時の空気の流入によってできる小さな穴)、フォームの2次発泡(ラミネート後にフォームが発泡しボード内に残る空気の粒)などを精査にチェックし、もし問題があれば完全に修復します。
chpが求めるクオリティを満たさないボードが出荷されることはありません。
検品作業に要する時間はボードの状態によって異なります。
発送
日本全国のchpディーラーに出荷
検品が終わったサーフボードは、オーダーをいただいた全国のchpディーラーに厳重に梱包され出荷されます。
ショップでの受け取り
カスタムオーダーのサーフボードができあがり!
運送中の損傷やオーダーミスがないかショップで最終確認し、デッキパッドのセットアップ、コーティング材の塗布などを行いオーダーをいただいたユーザーの手元に届きます。
オーダーを受け付けてからできあがりまで約1ヶ月、エアブラシや複雑なデザインのサーフボードなどは1.5ヶ月ほどかかります。
EPSなどの最新素材の場合は行程も異なり、またできあがりまで3ヶ月ほどかかります。
まとめ
ウォータースでは、今回ご紹介したサーフボードの性能、数多くのモデルデザイン、品質クオリティ、日本の各エリアにあわせたボードデザイン、ユーザーを最優先したサーフボード作りなど、メイドインジャパンのchpサーフボード、
ヨーロッパ最大のサーフボードファクトリーで作られ、厳しい目を持ったchpサーフボードが自信を持っておすすめするPUKASサーフボード、
トムカレン、ミックファニングとともにレールサーフィンで評価の高いテイラーノックスが乗るカリフォルニアオーシャンサイドのBorst Designs Surfboardはカリフォルニアでシェープ後、日本のchpサーフボードのファクトリーへ送られラミネートされています。世界で最高品質のBorst Designsサーフボードです。
コンピューターシェープシステムの利点を最大限に活かした、ATOM Surfboardを自信を持っておすすめさせていただいております。
サーフボード購入の際の注意
現在サーフボードは有名ブランドであっても、粗悪なサーフボードが存在しています。残念ながらマークをコピーしただけの偽物も存在しています。
これらはサーファーの求めるサーフィンの楽しさを半減させるだけでなく、レベルアップをめざすサーファーの妨げにもなっています。
あなたの求める、必要とするサーフボードは、信頼のおけるサーフショップでオーダー、ご購入されることをおすすめします。
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